なぜ変えるのか/換算して少し減らす理由/内服できなくなったとき/持続皮下注と早送り。
| 理由 | 場面 | 変える方向 |
|---|---|---|
| 飲めない | 嘔吐、嚥下困難、消化管閉塞、意識の低下 | 経路を変える(§3)。成分はそのままでよいことも多い |
| 副作用 | 眠気、せん妄、ミオクローヌス、頑固な便秘、掻痒 | 成分を変える。腎機能が落ちているならモルヒネから離れる(第4章 §3) |
| 効かない | 増やしても取れない | まず増やす以外の手を考える(第7章)。それでも合わなければ成分を変える |
飲めなくなったときに成分まで変える必要はありません。同じ成分に注射があるなら、経路だけを変えるのがいちばん安全です。ヒドロモルフォンは経口の徐放錠・速放錠と注射が揃っており、そのままつなげられます。
成分や経路を変えるときは、いまの量を経口モルヒネ換算に直し、そこから次の薬の量を出します。計算はオピオイド換算ツールに入れてあるので、この講義に換算表は置きません。
| 変更の型 | 減らすか |
|---|---|
| 同じ成分の経口製剤どうし(速放と徐放の入れ替えなど) | 減らさない。1日総量は同じでよい |
| 成分が変わる | 2割ほど減らす |
| 経路が変わる(経口から注射など) | 2割ほど減らす |
| 痛みが強く、いま取れていない | 減らさずに始めることもある。そのぶん見に行く回数を増やす |
そしてレスキューを決め直します。新しい1日量の6分の1が目安です(第5章 §2)。ここを前の薬のまま残すと、定時薬だけ変わってレスキューが合わない状態になります。
| 経路 | 向く場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 貼付剤 | 状態が落ち着いていて、量があまり動かない時期 | 立ち上がりが遅く、剥がしても効果がしばらく残る。量を細かく動かす時期には向かない |
| 坐剤 | 短期間のつなぎ | 下痢や肛門病変があると使えない |
| 持続皮下注 | 飲めなくなったときの主役。在宅でも使える | 静脈路が要らない。刺入部の発赤を見る |
| 持続静注 | すでに点滴路がある、大量が要る | ルートの管理が要る |
ヒドロモルフォンは、経口の徐放錠・速放錠と注射が同じ成分で揃っています。内服できているうちは経口で、飲めなくなったら同じ成分の注射へ。成分を変えずに経路だけ動かせるのは、切り替えの失敗が減るという意味で大きな利点です。
もうひとつ、貼付剤は剥がしたあとも皮下から吸収が続きます。副作用が出たときに剥がしただけでは、すぐには消えません。中止したあとしばらくは、眠気と呼吸数を見続けます。
嚥下が落ちてから慌てて切り替えると、その日のうちに指示を作り、機器を手配し、家族に説明することになります。数日前から兆しは出ています。
| 兆し | 意味 |
|---|---|
| 錠剤が飲みにくいと言う。むせる | 剤形を変えるか、経路を変える準備を始める |
| 食事量が落ちた。飲水も減った | 脱水と腎機能低下。モルヒネなら成分の見直しも(第4章 §3) |
| 日中うとうとする時間が増えた | 予後の見立てが変わる。第10章 |
| 吐き気で薬が飲めない日がある | その日だけ飲めていない。痛みの悪化として現れる |
今日どう組み替えるかを考えてください。