初期研修医向け 栄養講義
栄養管理ノート
製品名を覚えるより、①見つける → ②量を決める → ③ルートを選ぶ → ④安全に始めるの順で決める。低栄養の拾い上げから refeeding症候群、終末期の判断まで。
68歳女性。独居。1か月近くほとんど食事を摂れず、衰弱して搬送。身長 152 cm、体重 32 kg(BMI 13.9)。
採血では P 3.2 mg/dL、K 3.6 mEq/L、Mg 1.9 mg/dL といずれも基準値内。血糖 78 mg/dL。
研修医は「著しい低栄養だ。早く栄養を入れて体重を戻そう」と考え、初日から 1,200 kcal を経鼻胃管で開始した。
第2病日の夜、心室性不整脈と呼吸不全を来し、集中治療室へ搬送された。
| 項目 | 開始前 | 第2病日 |
| リン(P) | 3.2 mg/dL | 1.2 mg/dL ↓↓ |
| カリウム(K) | 3.6 mEq/L | 2.6 mEq/L ↓↓ |
| マグネシウム(Mg) | 1.9 mg/dL | 1.2 mg/dL ↓ |
| 心電図 | 洞調律 | 心室性期外収縮 多発 |
| 呼吸 | 16 /分 | 30 /分・浅い |
❌ よくある間違い
「電解質は基準値内 → 安全に栄養を始められる」。
飢餓状態では、細胞内が枯渇していても血中濃度は保たれます。正常値は安心材料になりません。そこに糖を入れるとインスリンが分泌され、P・K・Mg が一斉に細胞内へ移動して血中が急落します。
⚡ refeeding症候群 ― BMI 14未満・15日超の絶食は「きわめて高リスク」。開始量は 5 kcal/kg/日 = 約160 kcal で、1,200 kcal の 7分の1以下。
⚡ 糖より先にビタミンB1。1か月の絶食は B1 の貯蔵(2〜3週間分)を使い切るのに十分。
熱心に栄養を入れようとする医師ほど、refeeding症候群を起こしやすい。
落とし穴は入れなさすぎより、急に入れすぎ。
第1章から順に、決める順番を身につけてください。
第1章から始める
学習の進捗0 / 8 章完了
第1章から始めましょう
第1部 ・ 評価と設計
1
低栄養を見つけるGLIM基準の表現型と病因/アジア人のBMIカットオフ/アルブミンが指標にならない理由/ベッドサイドの3つの質問
2
必要量を決めるエネルギー・たんぱく質・水分の3つ/肥満と痩せで使い分ける体重/侵襲度別のたんぱく質/NPC/N比
第2部 ・ ルートと実践
3
経腸か静脈か腸を使う理由/真の禁忌と誤解されている禁忌/開始は早く増量はゆっくり/経鼻と胃瘻の分かれ目
4
経腸栄養の実際開始速度と増量/製品選択の4つの軸/下痢を中止せずに続ける/半固形とゲル化の違い
5
静脈栄養の実際3号液は栄養ではない/GIRの上限/脂肪乳剤の投与速度/ビタミンB1とWernicke脳症
第3部 ・ 安全と応用
6
refeeding症候群NICEのリスク判定/初日は10 または 5 kcal/kg/糖より先にB1/12時間ごとのP・K・Mg
7
モニタリングと合併症入れすぎという害/カテーテル関連血流感染/静脈栄養関連肝障害/亜鉛・銅とキットの配合差
8
病態別の栄養腎不全は保存期と透析期で逆/肝不全とBCAA/糖尿病/呼吸不全/周術期/終末期の判断
まとめ
まとめ早見表数字を1ページに。当直や回診で開く用
あわせて使うツール
NST栄養管理シミュレーター必要量を算出し、41製品から組み立てて充足率・GIR・NPC/N比・ビタミンB1・電解質を自動でチェック
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免責事項:本コンテンツは医療従事者の学習・参考を目的としたものであり、医療機器ではありません。記載内容は一般的な目安であり、実際の投与量・投与速度は個々の患者の病態、腎機能・肝機能、施設のプロトコル、および最新の添付文書に従って判断してください。最終的な判断は必ず担当医師が行ってください。