始めたあと何を追うか/高血糖/過剰投与という害/肝障害・胆汁うっ滞/カテーテル関連血流感染/微量元素と長期の欠乏症。
| 項目 | 頻度 | 見る理由 |
|---|---|---|
| 体重 | 週2〜3回(同条件で) | 最も基本的な指標。ただし浮腫と脱水に大きく左右されるので、単独では判断しない。 |
| 実際の摂取量 | 連日 | 指示した量ではなく、入った量。中断・嘔吐・検査での絶食で簡単に減る。 |
| 血糖 | 開始直後は1日4回 | 過剰投与とインスリン需要の指標。 |
| 電解質(Na・K・P・Mg) | 開始初期は連日 | refeeding(第6章)と利尿薬・下痢による喪失。 |
| 肝機能・胆道系酵素 | 週1回 | 静脈栄養関連の肝障害・胆汁うっ滞。 |
| 腎機能・BUN | 週1〜2回 | たんぱく負荷の指標。BUN/Cr比の上昇は過剰投与のサインになりうる。 |
| 中性脂肪 | 脂肪乳剤使用中は週1回 | クリアランス低下の確認。 |
| カテーテル刺入部 | 連日 | 発赤・疼痛・排膿。原因不明の発熱では必ず疑う。 |
栄養の合併症というと「足りない」ことを想像しがちですが、急性期に多いのは入れすぎのほうです。
目安として、ツールでは目標の120%を超えたら過剰投与として警告を出しています。逆に70%未満でも警告しますが、段階的な増量の途中であれば問題ありません。数字そのものより「意図した状態か」が大事です。
| 合併症 | 特徴と対応 |
|---|---|
| カテーテル関連血流感染 (CRBSI) | 最も重要。原因不明の発熱では常に疑う。刺入部所見がなくても否定できない。血液培養はカテーテルと末梢の両方から。挿入時の最大バリアプリコーション、閉鎖式輸液ライン、不要になったら速やかに抜去。 |
| 肝障害・胆汁うっ滞 | 長期TPNで頻度が上がる。腸を使わないこと自体が原因なので、少量でも経腸を併用するのが最善の対策。過剰投与を避け、脂肪乳剤の量を見直す。 |
| 高血糖・低血糖 | 高血糖はGIRの見直しとインスリン。低血糖は投与を急に止めたときに起こる。中止時は糖濃度を段階的に下げる。 |
| 静脈炎(末梢) | 浸透圧比3を超える製剤を末梢に入れると起こる。刺入部の疼痛・発赤で早期に入れ替える。 |
| 気胸・血腫・血栓 | 中心静脈カテーテル挿入時と留置中。挿入後の胸部X線確認を怠らない。 |
| 合併症 | 特徴と対応 |
|---|---|
| 誤嚥性肺炎 | 頭位挙上、速度調整、形状の変更、幽門後投与(第4章)。 |
| 下痢 | 薬剤・CDI・速度・浸透圧の順に確認。中止しない。 |
| 便秘 | 見落とされやすい。水分不足と食物繊維不足が主因。高濃度製剤では特に起きやすい。 |
| チューブ閉塞 | 前後の白湯フラッシュ、簡易懸濁法。 |
| 鼻翼潰瘍・副鼻腔炎 | 経鼻の長期留置で。4週間を超えるなら胃瘻を検討する理由のひとつ。 |
| 胃瘻の合併症 | スキントラブル、バンパー埋没症候群、栄養剤の漏れ。 |
数週間以上の栄養管理では、エネルギーとたんぱく質だけを見ていると足元をすくわれます。
| 栄養素 | 欠乏で起こること | 注意点 |
|---|---|---|
| ビタミンB1 | 乳酸アシドーシス、Wernicke脳症 | 最優先。基本液にはビタミンが入っていない(第5章)。 |
| 必須脂肪酸 | 皮膚炎、創傷治癒遅延 | 脂質をほとんど含まない製剤(成分栄養剤など)を単独で長期使用すると起こる。脂肪乳剤の併用を。 |
| 亜鉛 | 味覚障害、皮疹、創傷治癒遅延、脱毛 | 下痢や消化管瘻からの喪失が多いと不足しやすい。 |
| 銅 | 貧血、好中球減少 | 亜鉛の長期大量補充で銅の吸収が阻害される点に注意。 |
| 微量元素全般 | 多彩 | 高カロリー輸液キットによって配合が違う。エルネオパNFは5種(鉄・亜鉛・銅・マンガン・ヨウ素)だが、フルカリック・ネオパレンは亜鉛のみ。 |