レスキューの1回量はどう決まるか/いつ増やすか/増やしてはいけないとき/効果判定の間隔。
定時薬は持続痛の底を上げ、レスキューは突出痛の山を削ります。どちらか一方では足りません。
| 定時薬 | レスキュー | |
|---|---|---|
| 飲み方 | 痛くなくても決まった時刻に | 痛くなったとき、または痛くなる前に |
| 製剤 | 徐放製剤(1日1〜2回) | 速放製剤 |
| 増やす根拠 | 安静時のNRSとレスキューの回数 | 1回使って効いたかどうか |
経口の場合、目安は定時薬1日量の6分の1です。定時薬を増やしたら、レスキューも連動して増やします。
| 定時薬の形 | レスキューの決め方 |
|---|---|
| 経口の徐放製剤 | 同じ成分の速放製剤を、1日量の6分の1から |
| 持続注射 | 1時間量を早送りするのが基本(第8章) |
| フェンタニル貼付剤 | 貼付剤に速放製剤は無い。別の成分の内服速放製剤を用意する |
使ってよい間隔も決めて渡します。経口の速放製剤なら効き始めまでに時間がかかるため、効果を判定してから次を使います。間隔を伝えないと、効かないと感じた患者が短時間に重ねて使い、あとから眠気が出ます。
増量の根拠は2つです。安静時のNRSが目標に届いていないことと、レスキューを繰り返し使っていること。どちらか片方だけでは決めません。
| 前日の様子 | 読み方 | 次の手 |
|---|---|---|
| レスキューを何度も使い、使えば効く | 底が足りていない | 定時薬を増やす |
| レスキューを使っても効かない | 1回量が足りないか、痛みの種類が違う | レスキューの1回量を上げる。効かなければ第7章へ |
| レスキューはほとんど使っていないが、安静時のNRSが高い | 飲めていないか、痛みを訴えていない | 残薬を数える。使い方を聞き直す |
| 痛みは取れているが眠い | 多すぎる | 減らす(§4) |
増やす幅の目安は、いまの1日量の30〜50%増です。倍にはしません。
痛みが強く、待っていられないときは、徐放製剤の増量を待たずに速放製剤で先に痛みを抑えます。速放製剤で必要量が見えてから、その量に見合う徐放製剤へ移す、という順番です。
増量が答えにならない場面が4つあります。ここを見分けられないと、眠気とせん妄だけが増えていきます。
| 場面 | 見分け方 | やること |
|---|---|---|
| 痛みは取れているのに眠い | NRSは下がっている。日中うとうとする | 減量する。眠気は副作用であって目的ではない |
| 神経障害性の痛み | しびれる、電気が走る、触れただけで痛い | 鎮痛補助薬を足す(第7章)。量では追わない |
| 痛み以外の苦痛 | 部位が毎回変わる。夜だけ強い。眠れていない | 不安・不眠・せん妄を評価する(第1章 §2、第9章) |
| 定時薬の切れ目 | 痛くなる時刻が服用時刻とそろっている | 1回量か投与間隔を見直す。レスキューで埋めない(第2章 §2) |
もうひとつ、治療できる原因が残っていないかを折に触れて確かめます(第1章 §3)。病的骨折、消化管閉塞、尿閉、感染。増やしても取れない痛みの背後に、鎮痛薬とは別の手が要る状態が隠れていることがあります。
今日の指示をどう変えるかを考えてください。