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リファレンス

抗菌薬リファレンス

系統ごとに、どこまでカバーするかを一覧で。薬剤名は代表例であり、第一選択の断定ではありません。

この表はカバー範囲を確認するためのもの実際の選択は施設の採用薬とアンチバイオグラムに従ってください
この表の使い方
薬から考え始めないでください。フォーカスが決まり、想定する菌が絞れ、必要なカバー範囲が決まってから、この表を開きます(第8章)。
フォーカスから引きたいときは フォーカス別リファレンス を開いてください。肺炎・尿路感染・腹腔内・皮膚軟部組織などを、起因菌と組み立て方の順に並べてあります。
用量と腎機能に応じた調整は 抗菌薬投与量計算ツール で確認してください。
記号の意味
主たる標的 /  おおむねカバーする /  菌種や感受性による / × カバーしない
感受性は地域と施設で変わります。△と○の境目は院内のアンチバイオグラムで確認してください
4つの列で見る
この表はグラム染色で見えるものに対応させて列を作っています(第5章)。染色を見てからこの表を開けば、必要な列がすぐ決まります。
中身
陽性球菌
レンサ/ブドウ
レンサ=レンサ球菌・肺炎球菌/ブドウ=黄色ブドウ球菌(MSSA)。ペニシリンが効くかどうかが正反対なので分けています
MRSAは抗MRSA薬の項、腸球菌(E. faecalis / E. faecium)はペニシリン系の項に別枠で置いています
陰性桿菌大腸菌、クレブシエラ、プロテウスなど、ふつうに出会うもの
SPACE手ごわい陰性桿菌の別枠。下を参照
嫌気性
上/下
=横隔膜より上(口腔内)/=横隔膜より下(腸管、B. fragilis)
SPACE ― 手ごわい陰性桿菌
Serratia(セラチア)/Pseudomonas(緑膿菌)/Acinetobacter(アシネトバクター)/Citrobacter(シトロバクター)/Enterobacter(エンテロバクター)
同じグラム陰性桿菌でも、ふつうの陰性桿菌に効く薬が SPACE には効かないことがあるため、列を分けています。
SPACE の列が ○ でも、緑膿菌に効くとは限りません。備考で「緑膿菌」と書いた薬だけが緑膿菌に使えます
ペニシリン系
陽性球菌
レンサ/ブドウ
陰性桿菌SPACE嫌気性
上/下
備考
ペニシリンG◎/×××△/×肺炎球菌、レンサ球菌、梅毒。ブドウ球菌には効かない
アンピシリン◎/××△/×E. faecalis・リステリアに効く。ブドウ球菌には効かない
アンピシリン/スルバクタム◎/○×◎/○MSSAにも効く。誤嚥性肺炎、口腔内・腹腔内
タゾバクタム/ピペラシリン○/○◎/◎緑膿菌に効く。SPACEを広くカバーする
アモキシシリン(経口)○/××△/×吸収が良い。経口スイッチに使える
アンピシリンは E. faecalis に効きます。広域薬に替えたら腸球菌が外れた、ということが起こります。広い=強い、ではありません
レンサ球菌とブドウ球菌は分けて考える
同じグラム陽性球菌でも、ペニシリンが効くかどうかが正反対です。分かれ目はペニシリナーゼ(βラクタマーゼ)を作るかどうかです。
レンサ球菌ブドウ球菌(MSSA)
ペニシリナーゼ作らないほとんどが作る
ペニシリンG・アンピシリン今も効く効かない
使う薬ペニシリンG、アンピシリン、セフトリアキソンセファゾリン、アンピシリン/スルバクタム
MSSA にセファゾリンを選ぶ理由がここにあります。ペニシリン系でも、βラクタマーゼ阻害薬を足したアンピシリン/スルバクタムなら効きます。
MRSA はこの列の外です(抗MRSA薬の項)。腸球菌も別枠で、下のカードを見てください。
グラム染色で連鎖か、ブドウの房かを見る意味はここにあります(第5章)。塊で見えたなら、ペニシリンGでは押し切れません。
腸球菌は2つに分けて考える
「腸球菌」でひとまとめにすると薬を外します。培養報告で菌種名まで確認してください。
アンピシリン考え方
E. faecalis
(フェカリス)
効くことが多い感受性があればアンピシリンが第一選択。広域薬より狭くて確実
E. faecium
(フェシウム)
耐性が多いアンピシリンを当てにしない。バンコマイシンを考える。VRE なら別の薬へ
どちらもセフェム系は効きません。カルバペネムも E. faecium はカバーしません(E. faecalis は製剤による)。迷う場面は相談してください。
セフェム系
世代が上がるほど強くなる、のではありません。変わるのはどこをカバーするかです。1世代は陽性球菌が主役で、世代が上がると陰性桿菌へ寄っていきます。そして2世代から3世代のところで SPACE をカバーするかどうかが分かれ、さらにその中で緑膿菌に効くものと効かないものに分かれます
陽性球菌
レンサ/ブドウ
陰性桿菌SPACE嫌気性
上/下
備考
セファゾリン(1世代)○/××/×MSSAの第一選択・皮膚軟部組織。周術期予防
セフォチアム(2世代)○/○××/×陽性球菌と陰性桿菌の中間
セフメタゾール(セファマイシン)○/○×○/○セフェム系で唯一、横隔膜より下の嫌気性菌をカバーする。一部のESBLに活性
セフトリアキソン(3世代)◎/○××/×緑膿菌に効かない。髄液移行あり・1日1回。MSSAにはセファゾリンが優る
セフタジジム(3世代)△/××/×緑膿菌に効く。そのかわり陽性球菌が弱く、ブドウ球菌は当てにならない
セフェピム(4世代)○/○×/×緑膿菌に効き、陽性球菌も保つ
内服の第3世代セフェム使わない腸管からの吸収が悪い
セファレキシン(経口)○/○××/×吸収の確かな経口セフェム。MSSAの皮膚軟部組織に
3世代の分かれ道
同じ「3世代」でも中身が違います。セフトリアキソンは緑膿菌に効かず、セフタジジムは効きます。そのかわりセフタジジムは陽性球菌が弱いので、陽性球菌も緑膿菌も要るならセフェピムという選び方になります。
「3世代だから広い」で選ばないこと。
世代を上げた代償
陰性桿菌に強くなった分、陽性球菌は弱くなりました。セファゾリンがブドウ球菌の第一選択であるのに対し、3世代のセフタジジムはブドウ球菌に当てになりません。同じ系統の中で、守備範囲が入れ替わっています。
世代ブドウ球菌陰性桿菌
1世代(セファゾリン)
3世代(セフトリアキソン)
3世代(セフタジジム)×
この入れ替わりは、耐性菌の歴史とつながっています。広域セフェムが病院で広く使われるようになると、セフェム系が効かないブドウ球菌だけが生き残ります。MRSA はメチシリンが使われ始めた直後から報告されていましたが、院内で大きく広がったのは広域セフェムが普及した時期で、広域セフェムの使用は今も MRSA 検出の危険因子として挙げられます。広く使うほど、効かない菌が選ばれます。
3世代セフェムを選ぶ前に
皮膚軟部組織感染の起因菌は、レンサ球菌と黄色ブドウ球菌が中心です。合併症のない蜂窩織炎なら、そこに3世代セフェムを使う理由はありません。陰性桿菌のカバーが要らないうえ、狙いたいブドウ球菌にはセファゾリンのほうが確実だからです。ここでセフトリアキソンを選ぶと、効きが劣る薬で、要らない範囲まで広げて、耐性菌を選ぶことになります。合併症のない蜂窩織炎はセファゾリン(経口ならセファレキシン)から考えてください。
ただし背景で変わる足したいもの
糖尿病性足感染(深い・慢性・虚血)陰性桿菌と嫌気性菌。複雑症例では緑膿菌も
咬傷(イヌ・ネコ・ヒト)パスツレラ、エイケネラなど。アンピシリン/スルバクタムが使いやすい
水への曝露(海水・淡水)ビブリオ、エロモナス。肝硬変では劇症化する
好中球減少・免疫抑制緑膿菌を含む陰性桿菌
壊死性軟部組織感染、会陰部、褥瘡陰性桿菌と嫌気性菌の混合。外科的処置が優先
皮膚軟部組織だから狭くてよい、と決め打ちしないでください。患者ごとに背景を確認します。そして陰性桿菌のカバーが要ると判断した場面でも、答えが3世代セフェム単剤になるとは限りません(咬傷ならアンピシリン/スルバクタム、糖尿病性足なら嫌気性菌も要る)。
セフェム系は腸球菌に効きません(E. faecalis も E. faecium も)。また嫌気性菌のカバーも基本的にありません(セファマイシン系を除く)。誤嚥性肺炎や腹腔内感染で単剤にするときは注意
MSSA にはセファゾリンです。セフトリアキソンでも効きますが、菌血症・骨髄炎・心内膜炎ではセファゾリンが優ります。世代が上がるほどブドウ球菌には弱くなり、セフタジジムはブドウ球菌に当てになりません
タゾバクタム/ピペラシリンの使いどころ
この薬の特徴は緑膿菌と嫌気性菌の両方をカバーすることです。だから両方が要る場面が本来の使いどころになります。どちらも要らない場面では、使う理由がありません。
緑膿菌を考える場面
緑膿菌が関与しうるかは、患者背景フォーカスの両方から考えます(第6章)。
患者背景フォーカス
長期入院中
直近の濃厚な医療曝露(抗菌薬曝露を含む)
直近の培養で緑膿菌が出ている
好中球減少
院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎
気管支拡張症など構造的な肺疾患のある人の肺炎
発熱性好中球減少症
カテーテル関連血流感染
膀胱留置カテーテルのある腎盂腎炎
熱傷後の感染、糖尿病性足壊疽
手術部位感染
この薬が要らない場面
市中発症の尿路感染、市中肺炎、重症でない市中発症の胆管炎には要りません。狭い薬で足ります。
重症でこの薬を使いたいときは、なぜ緑膿菌と嫌気性菌の両方が要るのかを言葉にできるかを確認してください。言葉にできないときが、相談する場面です。
広くても効かない相手がいる
広域であることと、どんな菌にも効くことは別です。次の菌には効果が期待できません。
相手どうするか
ESBL産生菌、カルバペネム耐性の陰性桿菌重症ならメロペネムを検討する(下の項)
AmpCを過剰に産生する陰性桿菌セフェピムを選ぶ
MRSAE. faecium関与を想定するならバンコマイシンの併用が要る
医療曝露のある患者では、これらが一定数みられます。医療関連感染だからこの薬でよい、とはなりません。
外すときの代わり
場面代わりに考える薬
院内肺炎・人工呼吸器関連肺炎セフェピム。落ち着いている院内肺炎では緑膿菌のカバーを外してよいことがある(セフトリアキソン、アンピシリン/スルバクタム)
院内発症の腎盂腎炎尿のグラム染色で中型でやや細めの陰性桿菌なら緑膿菌を考えてセフタジジム。ふつうの陰性桿菌に見えるならセフトリアキソン。AmpCを疑うならセフェピム
胆道・腹腔内(軽症で市中発症)アンピシリン/スルバクタム、またはセフトリアキソン+メトロニダゾール
胆道・腹腔内(院内発症、抗菌薬曝露あり)セフェピム+メトロニダゾールこの場面はタゾバクタム/ピペラシリンのよい適応でもある
発熱性好中球減少症セフェピム。ただし好中球減少性腸炎や肛門周囲膿瘍を疑うなら嫌気性菌のカバーが要るので、タゾバクタム/ピペラシリンのよい適応になる
バンコマイシンとの併用
タゾバクタム/ピペラシリンとバンコマイシンを併用すると、急性腎障害が増えることが指摘されています。両方を続ける必要が本当にあるかを、培養結果が出た時点で必ず見直してください。
カルバペネム系
陽性球菌
レンサ/ブドウ
陰性桿菌SPACE嫌気性
上/下
備考
メロペネム○/○◎/◎緑膿菌に効く。ESBLに確実。髄液移行あり
その他のカルバペネム○/○◎/◎製剤により緑膿菌活性が異なる
使いどころを限る
ESBLはエンピリックにはカバーしません。重症かつリスクがあるときに限ります(第6章)
広いことは強いことではありません。E. faecium や MRSA はカバーしません
使ったら培養結果で狭める前提で始めます(第9章)
メロペネムを検討する場面
メロペネムは、原則としてESBLを産生するグラム陰性桿菌が想定される場面に限ります。初期治療として検討するのは次の3つです。
場面補足
以前にESBL産生菌が検出されていて、今回も同じ菌が原因と考えられる重症感染前回の培養結果は推定ではなく事実(第6章)
広域抗菌薬の使用中、または使用直後に新しく起きた感染セフェピムやタゾバクタム/ピペラシリンを使っている最中の発熱
グラム陰性菌の関与が疑われる敗血症性ショックESBLである可能性が低くても、そうだったときの死亡リスクが高いと考えられる場面
ESBLを想定しても、病状が安定していればセフメタゾールを考えます。また、使う前に血液培養2セットとフォーカスの培養を必ず採っておくこと。ここを採り損ねると、あとで狭める根拠が得られません。
出口を先に決めておく
原因菌がESBL産生菌と分かったあとも、病状が安定していてセフメタゾールに感受性があれば、メロペネムから切り替えられます。ESBLだったからカルバペネムを続ける、と決めつけないでください(第9章)。
カルバペネムが効かない菌
カルバペネム耐性の緑膿菌ステノトロホモナス(S. maltophilia)、カルバペネム耐性のグラム陰性桿菌MRSA腸球菌(特に E. faecium)マイコプラズマ・クラミジア・レジオネラ・リケッチア
解熱しないからカルバペネムへ上げる、という考え方はここで行き止まりになります。広げる前に膿瘍・デバイス・閉塞を確認してください(第8章)。
髄膜炎など中枢神経系の感染では倍量にします。移行する薬でも、通常量では濃度が足りません。腎機能に応じた調整は 抗菌薬投与量計算ツール で確認してください。
フルオロキノロン・ST合剤
陽性球菌
レンサ/ブドウ
陰性桿菌SPACE嫌気性
上/下
備考
レボフロキサシン○/○×/×吸収が良い。前立腺・骨に移行。非定型もカバー
シプロフロキサシン△/△×/×緑膿菌に効く。陽性球菌は弱い
ST合剤△/○×/×レンサ球菌は当てにしない。吸収が良い。前立腺に移行。ニューモシスチス
キノロンは経口でも点滴に近い血中濃度が得られます。だから経口スイッチの主力になりますが、制酸薬・鉄剤・カルシウムと同時に飲むと吸収が落ちます。服薬時間をずらす指示まで出してください
ST合剤は高カリウム血症とクレアチニン上昇に注意。腎機能で減量が要ります
抗MRSA薬
研修医が単独で開始する薬ではありません
本シリーズではMRSAをエンピリックにカバーしません(第6章)。培養で出てから変えて間に合う場面がほとんどです
使う判断が要る場面は、上級医に相談する場面です
抗MRSA薬が相手にするのは、βラクタム系が効かないグラム陽性菌です。名前のとおりMRSAが主ですが、それだけではありません。
相手場面
MRSA菌血症、感染性心内膜炎、カテーテル関連血流感染、骨髄炎、肺炎、皮膚軟部組織感染、髄膜炎
ペニシリン耐性の肺炎球菌髄膜炎に限る
E. faecium(アンピシリン耐性)尿路感染、胆管炎(重症ならカバーを考える)
βラクタム耐性のコリネバクテリウム、セレウス菌まれ
これら以外の菌が培養で出たときは汚染菌のことが多く、真の感染かどうかの判断が先になります(第3章)。
位置づけ備考
バンコマイシン第一選択使用経験と根拠が豊富。血中濃度の測定と投与設計が要る。腎障害に注意
テイコプラニン第一選択にはならないバンコマイシンより優れるという根拠はない。バンコマイシンで薬剤熱や薬疹が出たときの選択肢。血中濃度の測定が外注で数日かかる施設がある
リネゾリド肺炎、皮膚軟部組織感染経口でも吸収が良く、外来で続けられる。600mgを12時間おき(点滴・内服とも)。菌血症ではバンコマイシンに劣る可能性。長期で血小板減少
ダプトマイシン菌血症、感染性心内膜炎、骨髄炎、皮膚軟部組織感染肺サーファクタントで不活化されるため肺炎には使えない。バンコマイシンが使えないときや経過が悪いときに検討。CK上昇
バンコマイシンより明らかに治療効果が優れると示された薬はありません。新しい薬のほうがよく効く、という順序では選びません。使い分けは、肺に届くか、経口にできるか、副作用で続けられるか、で決まります。
バンコマイシンの投与設計
重症例では初回に負荷投与を行います。実体重あたり25〜30mg/kg(1回あたり最大2g)で始め、2回目以降を腎機能に合わせます。初回は腎機能が悪くても減らしません。腎機能が正常なら維持量は15〜20mg/kgを8〜12時間おきが目安です。
項目内容
投与設計薬剤師と一緒に決める。1人で組み立てない
血中濃度の測定AUC/MIC 400〜600 を目標に設計する。ガイドラインが改定され、トラフ値だけで管理する方式は現在は推奨されません。測定の回数とタイミングは施設の手順に従う
投与速度500mgあたり30分以上。1g以下なら1時間、1gを超えるなら2時間かけて点滴する
副作用腎障害(進行した慢性腎臓病では特に注意)。レッドマン症候群(体幹上部の皮膚が赤くなる。速く入れるほど起きやすい)
経口のバンコマイシンは別の薬と考える
経口のバンコマイシンは腸管から吸収されません。MRSAの感染症には使えません。
経口薬を使うのはクロストリジオイデス・ディフィシル感染症で、狙っているのは血中ではなく腸管の中です。同じ名前の薬でも、点滴と内服で用途がまったく違います。
ダプトマイシンは6mg/kgを24時間おきが基本で、重症・感染性心内膜炎・骨髄炎・人工物感染・椎体炎では8〜10mg/kgに増やします。クレアチニンクリアランスが30mL/分未満なら48時間おきに延ばします。腎機能に応じた調整は 抗菌薬投与量計算ツール でも確認できます。
嫌気性菌は横隔膜の上下で分ける
「嫌気性菌をカバーする」だけでは足りません。横隔膜より上と下では菌が違い、効く薬も違います。フォーカスが決まれば、どちらを狙うかも決まります。
横隔膜より横隔膜より
主な菌口腔内の嫌気性菌(ペプトストレプトコッカス、フソバクテリウム、プレボテラ)バクテロイデス(B. fragilis など腸管の嫌気性菌)
場面誤嚥性肺炎、歯性感染、深頸部膿瘍、肺膿瘍腹腔内感染、胆道、骨盤内、肛門周囲膿瘍
効きにくい理由βラクタマーゼを作るものがあるβラクタマーゼを作り、多くのセフェムが効かない
備考
ペニシリンG・アンピシリン×βラクタマーゼ産生菌には効かない
アンピシリン/スルバクタム誤嚥性肺炎の定番
セフメタゾール(セファマイシン)セフェム系で唯一、下をカバーする
他のセフェム系××セフトリアキソン・セフタジジム・セフェピムはいずれも×
タゾバクタム/ピペラシリン上下とも広くカバー
カルバペネム上下とも広くカバー
メトロニダゾール下に強い。単剤では上を任せない。偽膜性腸炎にも
クリンダマイシン上には使えるが、下は耐性が増えていて当てにできない誤嚥性肺炎でセフトリアキソンと併用すると使いやすい
セフェム単剤にするときの落とし穴
セフトリアキソン・セフタジジム・セフェピムには嫌気性菌のカバーがありません。誤嚥性肺炎や腹腔内感染をこれらの単剤で治療すると、嫌気性菌が抜けます。
セフェム系で嫌気性菌を狙えるのはセファマイシン系(セフメタゾール)だけで、しかも横隔膜より下まで届くのがその特徴です。腹腔内感染でセフメタゾールが選ばれるのはこのためです。
足りないぶんを併用で補う手もあります。誤嚥性肺炎でセフトリアキソン+クリンダマイシンとすれば、市中肺炎の起因菌に加えて横隔膜より上の嫌気性菌までカバーでき、実際に使いやすい組み合わせです。ただしクリンダマイシンは横隔膜より下が当てにならないので、腹腔内感染をこの形で押し切らないこと。下を狙うならセフメタゾールか、メトロニダゾールの併用にします。
覚えておきたい落とし穴
内容
広域=万能ではないカルバペネムも E. faecium と MRSA はカバーしない。セフェム系はどちらの腸球菌にも効かない
広い薬に替えて外すアンピシリンで効いていた E. faecalis が、広域セフェムに替えて外れることがある
ダプトマイシンと肺炎肺サーファクタントで不活化される。肺炎には使わない
広域薬どうしの併用バンコマイシンとタゾバクタム/ピペラシリンの併用で急性腎障害が増える。両方が要るかを培養結果で見直す
経口のバンコマイシン腸管から吸収されない。MRSAの感染症には使えない。使うのはクロストリジオイデス・ディフィシル感染症
カルバペネムを始めたあとESBL産生菌でも、安定していてセフメタゾールに感受性があれば切り替えられる
キノロンと制酸薬同時服用で吸収が大きく落ちる。服薬時間をずらす
髄膜炎の投与量移行する薬でも通常量では足りない。髄膜炎量で投与する
初回投与量腎機能が悪くても初回は減らさないことが多い。減らすのは2回目以降
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病気から引く
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章の一覧
まとめ早見表
3つの軸と治療期間
抗菌薬 投与量計算
eGFR連動・45剤対応
免責事項:本コンテンツは医療従事者の学習・参考を目的としたものであり、医療機器ではありません。記載のカバー範囲は一般的な傾向であり、実際の感受性は地域・施設・株によって異なります。薬剤の選択と用量は各施設のプロトコル、院内のアンチバイオグラム、および最新の添付文書に従ってください。診断・治療の最終判断は必ず担当医師が行ってください。