トップ講義一覧
まとめ

感染症 早見表

要点を1ページに。当直中・病棟で見返す用。印刷して持ち歩けます。

感染がどこにあるかが決まらないと
薬は届かないフォーカス × 耐性のリスク × 重症度 → 治療は自ずと決まる
3つの軸
決まること
フォーカス届く薬か/治療期間/想定する菌2・3
耐性のリスクどこまで広くカバーするか6
重症度どれだけ急ぐか/外せるか7
最初の30分
① バイタルを取り直す ② 服を脱がせて全身を診る ③ 抗菌薬の前に培養 ④ 背景を聞く
ショックでは抗菌薬を待たせない。培養は採れる範囲で
感染症でない発熱
薬剤熱/深部静脈血栓・肺塞栓/悪性腫瘍/膠原病/痛風・偽痛風/甲状腺クリーゼ・副腎不全
発熱がないことは否定にならない
高齢者・ステロイド・重症例では熱が出ない。敗血症では低体温が予後不良のサイン
高齢者は食欲低下・せん妄・転倒だけのことがある
見落としやすい6か所
場所確認
仙骨部・踵の褥瘡体位を変える。深さ・ポケット・悪臭・骨に触れるか
デバイス刺入部ドレッシングを剥がす。留置日数
口腔内齲歯・歯肉の排膿・義歯の下
関節単関節の熱感と可動域制限
会陰・肛門周囲膿瘍、フルニエ壊疽
前立腺男性の発熱を伴う尿路感染では直腸診
服を脱がせ、体位を変える。やらなければ背部・仙骨部・会陰部・足底は原理的に見えない
培養の採り方
検体要点
血液2セット・別々の穿刺部位。採血量が陽性率を最も左右する
喀痰唾液ではないものを。うがい後、深く咳をして
尿中間尿。留置カテーテルは入れ替えてから
創部表面のぬぐいではなく深部・組織
黄色ブドウ球菌が血液から出たら
1セットでも汚染扱いしない。心臓弁・脊椎・関節への転移巣を探す
心エコー/背部痛の聴取/血液培養の陰性化を確認
グラム染色
Geckler白血球扁平上皮扱い
1〜3> 25唾液。採り直す
4> 2510〜25使える
5> 25< 10良質
6< 25< 10好中球減少では有用
見えるもの想定
陽性球菌・ブドウ状ブドウ球菌
陽性球菌・連鎖状レンサ球菌、腸球菌(E. faecalis / E. faecium)
陽性球菌・ランセット型双球菌肺炎球菌
陰性桿菌・太く短い大腸菌など
陰性桿菌・細長い緑膿菌(SPACE)
陰性球菌・双球菌モラクセラ、淋菌・髄膜炎菌
陽性桿菌多くは定着(コリネバクテリウム)
酵母(喀痰)治療しない。血液から出たら本物
腸球菌は2つに分ける
E. faecalis=アンピシリンが効くことが多い(感受性を見て第一選択に)/E. faecium=アンピシリン耐性が多い
どちらもセフェム系は効かない。カルバペネムも E. faecium はカバーしない
起因菌らしさ=貪食されている・単一で優勢・扁平上皮に付いていない/脱色しすぎで陽性菌が赤く、足りないと陰性菌が紫に見える
耐性のリスク
5因子:90日以内の抗菌薬曝露/施設入所/透析/デバイス/免疫抑制
方針
緑膿菌リスクがあればカバー。肺炎で画像上の気管支拡張があればカバー
ESBLエンピリックにはカバーしない。重症かつリスクがあればカバー
MRSAエンピリックにカバーしない。培養で出てから変える。迷えば相談
最も効く一手
前回の培養結果を取りに行く。推定ではなく事実が得られる
施設入所・転院なら紹介元に問い合わせる
重症度
qSOFA基準
意識意識変容(GCS < 15)
呼吸呼吸数 22回/分 以上
血圧収縮期血圧 100 mmHg 以下
2項目以上で動き出す。陰性でも否定にならない。敗血症=感染+臓器障害(熱でも菌血症でもない)
A-DROP基準
A 年齢男性 70歳以上/女性 75歳以上
D 脱水BUN 21 mg/dL 以上、または脱水
R 呼吸SpO₂ 90% 以下
O 意識意識障害あり
P 血圧収縮期血圧 90 mmHg 以下
0点=軽症(外来)/1〜2点=中等症(入院)/3点=重症(ICU考慮)/4〜5点、または3点で意識障害か血圧低下を含めば超重症
敗血症を疑ったら
培養 → 抗菌薬 → 輸液 → 乳酸 → ドレナージすべきものを探す
閉塞した胆道・尿路、膿瘍、感染デバイスは薬では治らない
嫌気性菌は横隔膜の上下で
上(口腔内)下(腸管)
場面誤嚥性肺炎、歯性感染、肺膿瘍腹腔内、胆道、骨盤内
アンピシリン/スルバクタム
セフメタゾール
他のセフェム系××
タゾバクタム/ピペラシリン・カルバペネム
メトロニダゾール
クリンダマイシン
セフェム系で下まで届くのはセファマイシン系(セフメタゾール)だけ。セフトリアキソン・セフェピムには嫌気性菌のカバーがない
誤嚥性肺炎では セフトリアキソン+クリンダマイシン が使いやすい(上をカバー)。下を狙うならセフメタゾールかメトロニダゾール併用
広域薬を選ぶ
足したいもの代表例
緑膿菌+嫌気性菌タゾバクタム/ピペラシリン
緑膿菌だけセフェピム(陽性球菌も保つ)/セフタジジム(陽性球菌は弱い)
ESBLメロペネム安定していればセフメタゾール
AmpC過剰産生セフェピム
横隔膜より下の嫌気性菌だけセフメタゾール/メトロニダゾール併用
市中発症の尿路感染・市中肺炎・重症でない胆管炎にタゾバクタム/ピペラシリンは要らない。よい適応は院内発症や抗菌薬曝露のある腹腔内・胆道感染好中球減少性腸炎や肛門周囲膿瘍を疑う発熱性好中球減少症
広くても効かない相手
タゾバクタム/ピペラシリン:ESBL産生菌、AmpC過剰産生菌、MRSA、E. faecium
カルバペネム:カルバペネム耐性緑膿菌、ステノトロホモナス、MRSA、E. faecium、マイコプラズマ・クラミジア・レジオネラ
バンコマイシンとタゾバクタム/ピペラシリンの併用は急性腎障害が増える
メロペネムを使う3つの場面
以前のESBL検出+今回も同じ菌が想定される重症/広域薬の使用中・直後に起きた感染/グラム陰性菌が関与する敗血症性ショック
投与前に血液培養2セットとフォーカスの培養。安定していてセフメタゾールに感受性があれば切り替える
抗MRSA薬
バンコマイシンが第一選択。重症例は初回に負荷投与(25〜30mg/kg、実体重、1回最大2g)。初回は腎機能が悪くても減らさない。維持量は15〜20mg/kgを8〜12時間おき。AUC/MIC 400〜600 を目標に設計する(トラフ値だけの管理は現在は推奨されない)
ダプトマイシンは肺炎に使えない(肺サーファクタントで不活化)/リネゾリドは経口可、長期で血小板減少/経口バンコマイシンは吸収されない(使うのはクロストリジオイデス・ディフィシル感染症)
広げない判断
合併症のない蜂窩織炎はセファゾリン(経口ならセファレキシン)。3世代セフェムは要らない
ただし糖尿病性足・咬傷・水曝露・好中球減少・壊死性軟部組織感染では陰性桿菌や嫌気性菌が入る。皮膚軟部組織だから狭くてよいとは決めない
セフェムは世代が上がるほど陰性桿菌に強くなる代わりに陽性球菌が弱くなる広域セフェムを使うほど、それが効かないブドウ球菌が生き残る(MRSAが院内で広がった背景)
届かない場所
場所どうするか
前立腺フルオロキノロン、ST合剤
髄液移行する薬を髄膜炎量で
骨・関節移行性と、数週間続けられるか
膿瘍ドレナージ
人工物抜去・交換
閉塞した胆道・尿路ドレナージ
広さと、届くことは別の話。解熱しないとき薬を広げる前に、膿瘍・デバイス・閉塞を確認する
点滴から内服へ
内服の第3世代セフェムは使わない
腸管からの吸収が悪く、血中濃度が上がらない。組織移行性より手前の問題として外れている
吸収の確かな経口薬備考
フルオロキノロン前立腺・骨にも移行。制酸薬・金属イオンで吸収低下
ST合剤前立腺に移行。腎機能とカリウム
アモキシシリン(±クラブラン酸)経口ペニシリン
セファレキシン吸収の確かな経口セフェム
内服に落とさない:感染性心内膜炎/化膿性脊椎炎・骨髄炎/黄色ブドウ球菌の菌血症/髄膜炎
治療期間の目安
疾患期間
市中肺炎(軽症〜中等症)5〜7日
腎盂腎炎7〜14日
急性前立腺炎2〜4週
蜂窩織炎5〜10日
胆管炎・胆嚢炎ドレナージ後 4〜7日
腹腔内感染ドレナージ後 4〜7日
黄色ブドウ球菌の菌血症最低2週、合併症で4〜6週
感染性心内膜炎4〜6週
化膿性脊椎炎・骨髄炎6週以上
化膿性関節炎2〜4週
細菌性髄膜炎菌により 7日〜3週
この表に必ず従うものではない
膿瘍化・ドレナージ不十分・免疫抑制・経過不良では延長する。ソースコントロールが効けば短くできることもある
サンフォードガイドを拠りどころとした目安。施設の方針と上級医の判断を優先
黄色ブドウ球菌の菌血症は、血液培養が陰性化した日を起点に数える
効かないときの4つの理由
理由確認
1薬が外れている感受性。量が足りているか
2届いていないフォーカスは合っているか
3感染症ではない薬剤熱・血栓・腫瘍・膠原病
4ドレナージが必要膿瘍・閉塞・デバイス
多いのは2番と4番。広げても解熱しない患者に、さらに広げても解熱しない
効果判定は48〜72時間みる。主役はバイタル・意識・食事・局所所見CRPは遅れて動くので単独で判断しない
戻る
フォーカス別リファレンス
病気から引く
講義一覧
章の一覧
抗菌薬リファレンス
主要抗菌薬のカバー範囲
免責事項:本コンテンツは医療従事者の学習・参考を目的としたものであり、医療機器ではありません。記載の数値・基準・薬剤の用量はあくまで一般的な目安であり、実際の診療は各施設のプロトコルと患者の病態、および最新の添付文書に従ってください。診断・治療の最終判断は必ず担当医師が行ってください。