CPAP と BiPAP は何が違うのか/効く病態・効かない病態/初期設定と撤退の判断。
BiPAP は吸気時に IPAP、呼気時に EPAP。その差がプレッシャーサポート(PS)
| CPAP | BiPAP(S/T) | |
|---|---|---|
| かける圧 | 1つ(常に一定) | 2つ(吸気 IPAP / 呼気 EPAP) |
| できること | 肺胞を開く・虚脱を防ぐ = 酸素化の改善 | それに加えて吸気を押し込む = 換気量が増え CO₂ が下がる |
| 主な対象 | Ⅰ型(酸素化の問題) 心原性肺水腫・睡眠時無呼吸 | Ⅱ型(換気の問題) COPD 増悪・肥満低換気 |
※ 人工呼吸器の NPPV モードでは「PS / PEEP」と表示されることがあります。IPAP = PS + PEEP、EPAP = PEEP の関係です。機器の表記がどちらかを必ず確認してください。
NPPV は、呼吸が悪い人に何となく使うものではありません。効果が確立している病態とそうでない病態を分けて覚えます。
| 病態 | 推奨度 | ポイント |
|---|---|---|
| COPD 増悪 呼吸性アシドーシス pH < 7.35 を伴う | 最も良い適応 | 挿管率・死亡率を下げる。BiPAP で PS を効かせる |
| 心原性肺水腫 | 最も良い適応 | 陽圧が前負荷・後負荷を下げ、肺胞の水を押し戻す。CPAP でも BiPAP でも可 |
| 免疫不全患者の呼吸不全 | 良い適応 | 挿管に伴う感染合併症を避けられる利点 |
| 肥満低換気症候群・神経筋疾患 | 良い適応 | 慢性期の在宅 NPPV も含む |
| 抜管後の呼吸不全(高リスク例) | 条件付き | 予防的な使用は有用。すでに起きた呼吸不全への使用は再挿管を遅らせる危険 |
| 重症肺炎・ARDS | 慎重に | 失敗率が高い。NHF や早期挿管のほうが良い場合が多い |
| 重症喘息発作 | 慎重に | エビデンスは限定的。使うなら厳重な監視下で短時間 |
| 絶対的禁忌 | 相対的禁忌(慎重判断) |
|---|---|
|
・心停止/呼吸停止 ・気道を確保できない ・顔面にマスクを装着できない (外傷・熱傷・手術直後) |
・意識障害(協力が得られない) ・循環不安定・重篤な不整脈 ・大量の気道分泌物・喀血 ・嘔吐・上部消化管出血・イレウス ・未ドレナージの気胸 ・最近の上部消化管/気道の手術後 |
低めの圧から始めて患者を慣れさせ、数分単位で目標まで上げていくのが実務のコツです。いきなり高い圧をかけると不快で外されてしまいます。
| 血液ガスの所見 | 対応 |
|---|---|
| PaCO₂ が高い/pH が低い | IPAP を上げる(=PS を増やして換気量を増やす)。2 cmH₂O ずつ |
| PaO₂ / SpO₂ が低い | EPAP と FiO₂ を上げる。EPAP を上げたら IPAP も同量上げて PS を維持 |
| 一回換気量が出すぎている | IPAP を下げる(過大な換気量は肺障害の原因になる) |
NPPV は効くなら早く効く治療です。開始時に再評価の時刻をカルテに書いておきます。
| 改善のサイン(続行) | 失敗のサイン(挿管へ) |
|---|---|
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・pH の上昇・PaCO₂ の低下 ・呼吸数の低下 ・補助呼吸筋の使用が減る ・意識レベルの改善 ・患者が「楽になった」と言う |
・pH が改善しない/さらに低下 ・PaCO₂ が下がらない ・呼吸数が下がらない・意識が悪化 ・マスクに耐えられない ・循環が不安定になる・分泌物が処理できない |