酸素だけでは足りないと判断する根拠/NPPV か挿管か/呼ばれてからでは遅い所見。
呼吸不全は血液ガスの PaCO₂ で2つに分かれます。この区別が、次に選ぶデバイスを決めます。
| Ⅰ型(低酸素性) | Ⅱ型(高二酸化炭素性) | |
|---|---|---|
| 定義 | PaO₂ < 60 mmHg PaCO₂ は正常〜低下 | PaCO₂ > 45 mmHg (+PaO₂ 低下を伴うことが多い) |
| 本質 | ガス交換の障害 V/Q ミスマッチ・シャント・拡散障害 | 肺胞換気量の不足 換気の「量」が足りない |
| 代表例 | 肺炎・ARDS・肺水腫・肺塞栓 | COPD 増悪・喘息重積・鎮静薬過量・神経筋疾患・肥満低換気 |
| 基本の一手 | 酸素・PEEP(NHF / CPAP) | 換気を助ける(NPPV の BiPAP / 挿管) NPPV 不耐容なら NHF も代替となる |
※ 例外的に、NHF は圧をかけずとも死腔の洗い出しによって CO₂ を下げます。NPPV に耐えられない患者や在宅での長期管理で選択肢になります(第4章)。
※ 混合しているケースも多くあります(例:COPD 患者の肺炎)。A-aDO₂ で肺自体の問題を切り分ける方法は血液ガス判読ノート 第7章を参照してください。
SpO₂ と血液ガスは結果であり、限界が来たことは身体所見のほうが先に教えてくれます。ベッドサイドで次を確認してください。
数値で裏づけるには血液ガスを見ます。pH が下がり続けている(アシデミアの進行)のは、換気が需要に追いついていない何よりの証拠です。
NHF を導入したあと、このまま様子を見てよいか、挿管に踏み切るかを判断するための指標です。
NHF 開始後 2時間・6時間・12時間の時点で評価し、値が上がっていくなら成功の見込みが高く、横ばい〜低下なら挿管を準備します。
非侵襲(NPPV)で粘るか、確実な気道(挿管)に移るか。判断の軸は気道を自分で守れるかとNPPV が効く病態かの2つです。
| NPPV が向く | 挿管が向く |
|---|---|
| 意識清明で協力が得られる | 意識障害・気道保護ができない |
| マスクを装着できる顔面 | 顔面外傷・上気道閉塞 |
| 分泌物が自力で喀出できる | 大量の分泌物・喀血・嘔吐 |
| 循環が安定している | ショック・重篤な不整脈・心停止切迫 |
| 数時間で改善が見込める病態 COPD 増悪・心原性肺水腫 | 改善に日単位を要する病態 重症 ARDS・多臓器不全 |