何のための輸液か/製剤の中身を知る/自由水で考える/電解質異常での選択。
| 目的 | 何を届けるか | 典型的な製剤 |
|---|---|---|
| ① 蘇生・補充 resuscitation | 血管内容量を今すぐ増やす | 細胞外液(生理食塩水・リンゲル液) |
| ② 維持 maintenance | 飲めない間の水・電解質の1日必要量 | 維持液(3号液) |
| ③ 補正 correction | 特定の異常を狙って直す | 3% 食塩水・5% ブドウ糖・K 添加液など |
| 製剤 | Na | K | 糖 | 性格 |
|---|---|---|---|---|
| 生理食塩水 | 154 | 0 | 0 | 細胞外液。Cl も 154 と高い |
| 乳酸/酢酸リンゲル | 約130 | 4 | 0 | 細胞外液。血漿に近くCl が低め |
| 1号液(開始液) | 約90 | 0 | 2.6% | K を含まない。腎機能不明時の初期に |
| 3号液(維持液) | 約35 | 20 | 4.3% | 維持用。低張なので補充には不向き |
| 5% ブドウ糖 | 0 | 0 | 5% | 実質自由水。糖は代謝され水が残る |
| 3% 食塩水 | 513 | 0 | 0 | 高張。症候性低 Na の初期補正用 |
※ 数値は代表的な製品のおおよその値(mEq/L)。実際の組成は製品ごとに異なるため、必ず添付文書を確認してください。
体重 60 kg なら水分は約 1500〜2000 mL/日。3号液 500 mL × 3〜4本がおおよそこれに相当し、Na・K もほぼ必要量を満たします。これが「維持液」と呼ばれる理由です。
輸液を Na 濃度で見ると、その輸液が血清 Na を上げるか下げるかが分かります。
| 状況 | 選ぶもの | 理由・注意 |
|---|---|---|
| 低 Na(脱水あり) | 細胞外液 | volume が戻ると ADH が切れて Na が急上昇。頻回に再検(第3章) |
| 低 Na(SIADH) | 水制限 | 生食は悪化させうる(desalination) |
| 低 Na(症候性) | 3% 食塩水 | 100〜150 mL を 10〜20 分。上限を厳守 |
| 高 Na | 自由水(経口・経管の水/5% ブドウ糖) | 循環不安定ならまず細胞外液(第4章) |
| 高 K | K を含まない製剤 (生食・1号液) | 3号液には K 20 mEq/L が入っている。リンゲル液にも K 4 |
| 低 K | K 添加(生食で希釈) | ≤40 mEq/L・≤10〜20 mEq/時。ワンショット禁忌。Mg も測る(第5章) |
| 腎機能不明・搬入直後 | 1号液または生食 | K を避ける。尿量と腎機能を確認してから移行 |
| 大量輸液が必要 | リンゲル液 | 生食大量では高 Cl 性アシドーシス |