洞結節の変動/PAC と PVC の見分け方/どこまでが放置してよい不整脈か。
洞結節は自律神経の影響を強く受けるため、レートは常に変動しています。これ自体は不整脈というより体の状態を映す鏡です。
| 所見 | 定義 | 考えること |
|---|---|---|
| 洞頻脈 | 洞調律で > 100/分 | 発熱・脱水・出血・疼痛・不安・貧血・低酸素・甲状腺機能亢進・肺塞栓・薬剤 |
| 洞徐脈 | 洞調律で < 50/分 | スポーツ心臓・睡眠・迷走神経刺激・β遮断薬/Ca拮抗薬/ジギタリス・甲状腺機能低下・頭蓋内圧亢進・下壁梗塞 |
| 呼吸性洞不整脈 | 吸気で速く、呼気で遅くなる | 若年者では正常所見。治療不要 |
期外収縮とは、洞結節の予定より早いタイミングで、別の場所から出た興奮のことです。どこから出たかによって PAC と PVC に分かれ、心電図での見え方が明確に違います。
| PAC(心房期外収縮) | PVC(心室期外収縮) | |
|---|---|---|
| 先行する P 波 | ある(ただし形が洞調律と違う) | ない |
| QRS 幅 | 狭い(洞調律と同じ形) ※変行伝導すると幅広になることがある | 幅広(≥ 0.12 秒)で形も異様 |
| T 波の向き | QRS と同じ | QRS と逆向き(discordant) |
| その後の休止期 | 不完全代償性 洞結節がリセットされる | 完全代償性 洞結節は影響を受けず、次の洞P は予定どおり |
| 臨床的意義 | 健常者にも多い。頻発すれば心房細動の予兆のことも | 基礎心疾患の有無で意味が変わる(§3) |
PVC は健常者の心電図にも普通に出ます。健診で指摘されて不安になって受診する人も多い所見です。判断を分けるのは、波形そのものではなく土台となる心臓です。
| 状況 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 基礎心疾患なし・単形性・少数 | 予後に影響しないことがほとんど | 説明と経過観察。カフェイン・アルコール・睡眠不足・ストレスの是正 |
| 基礎心疾患あり 心筋梗塞後・心不全・心筋症 | 致死性不整脈のリスクが上がる | 循環器へ。心エコー・ホルター・必要に応じ精査 |
| PVC が非常に頻発 総心拍の 10〜20% 超 | 頻発 PVC 誘発性心筋症のリスク | ホルターで負荷率を評価、循環器へ |
T 波の頂点付近は、心筋の一部がまだ回復しきっていない受攻期(vulnerable period)です。この時期に強い刺激が入ると、心筋の場所ごとに回復のばらつきがあるため、興奮が旋回して心室頻拍・心室細動に発展することがあります。
PVC が前の拍の T 波に重なって出現する現象が R on T です。