何がわかるか/3つの主役/用語の整理。判読の手順に入る前に、土台となる言葉と全体像を押さえます。
血液ガスが教えてくれることは、大きく2つの軸に分かれます。
多くの機種では、これに加えて乳酸(Lac)・電解質・Hb なども同時に表示されます。
「血液ガス」と一口に言っても、動脈血(ABG)と静脈血(VBG)があります。使い分けの感覚を持っておきましょう。
採取の注意:ヘパリン化シリンジを使い、気泡はすぐに抜き、凝固させず、できるだけ速やかに測定します(遅れる場合は氷冷)。
すべてを暗記する必要はありません。まずは上段の3つ(pH・PaCO₂・HCO₃⁻)を体に入れてください。
正常域(7.35〜7.45)は非常に狭い範囲に保たれている
※ PaO₂ は加齢で低下します。乳酸(Lac)は概ね 2 mmol/L 未満が目安。
酸塩基平衡の読み方は、この3つの関係を追うことに尽きます。
| 項目 | 表すもの | 動かす臓器 |
|---|---|---|
| pH | 血液の酸性度の最終結果。低い=酸性、高い=アルカリ性 | ― |
| PaCO₂ | 呼吸性の要素。CO₂は「酸」として働く | 肺 |
| HCO₃⁻ | 代謝性の要素。HCO₃⁻は「塩基(アルカリ)」 | 腎臓 |
初学者がいちばん混同しやすいのがここです。似ていますが、意味する次元が違います。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| アシデミア (acidemia) | 血液そのものが酸性に傾いている状態。pH で決まる(pH<7.35)。対義語はアルカレミア |
| アシドーシス (acidosis) | pH を酸性に向かわせようとする病態プロセス。対義語はアルカローシス |
1人の患者に、酸性に向かわせるプロセスとアルカリ性に向かわせるプロセスが同時に起こることがあります(混合性酸塩基異常)。両者が拮抗すると、pH は見かけ上ふつうに見えることもあります。
原発性の異常が呼吸性か代謝性かは、pH と主役の動く向きでつかめます。
アルカローシスは矢印が逆。PaCO₂↓→pH↑(呼吸性)、HCO₃⁻↑→pH↑(代謝性)
イメージの背景には Henderson-Hasselbalch があります。pH は HCO₃⁻ / PaCO₂ の比で決まる、と考えると整理しやすい。分子の HCO₃⁻ が増えれば pH↑、分母の PaCO₂ が増えれば pH↓。式の暗記は不要で、この「比」のイメージだけ持っておけば十分です。
ここまでの土台だけで、どこまで読めるか試してみましょう。各ステップを1つずつ開いて、自分の考えと照らし合わせてください。